フランス語 R の発音の壁 「る」の音の正体をつかむ

フランス語の発音
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フランス語の発音の中でも最も難しい音の一つに、[ R ]の音があります。日本語には[ R ]と[ L ]の区別が有りません、だから最初は[ R ]の発音も[ L ]エルの発音になってしまうのが普通だと思います。

確かにフランス語の[ L ]の音は、日本語のラリルレロで代用できるとしても、[ R ]の音は[ L ]に似ているようで全く異なる音のため、習得するには新たな発声方法を身につける必要がありそうです。

この記事では日本人がフランス語[ R ]の発音をよりスムーズに習得するためのコツと、その発音原理の考察、及び発音方法についてご紹介していきます。

*このサイトでは日本語読みの[ L ]の音「ル」と区別するために、[ R ]の音を平仮名の「る」と表記しています。

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[ R ]の音こそフランス語発音の最大の壁?

幸か不幸かフランス語発音の最難関と目される[ R ]の音は、フランス語の子音の中でも最も多用される音声となっています。

例えば、

仮に以下のような簡単な文章を思い浮かべても、

「フランス語はあなたの心の扉を開きます。」

Le français ouvre la porte de votre cœur.
ルフらンせ ウーヴる ラポトゥ ドゥ ヴォトる クー

全ての単語の中に[ R ]が含まれています(冠詞は除く)。それくらい[ R ]の発音は頻出しますので、何度も練習する価値のある子音の一つだといえると思います。

むしろフランス語発音上手への近道は、ともすると[ R ]の発音の克服にあるかもしれません。

[ R ]の発音は、日本人だけでなくフランス語学習者を拒むかのような壁として屹立し、あたかも限られた者にしか正確に発音できない秘密の音のような魅力さへ感じさせます。

異邦人の多くは巻き舌の癖の強い[ R ]のままだったり、南仏などの地方では強い[ R ]の訛りが残っていたり、パリ周辺地域では軽い[ R ]が発音されたりと色々ですが。

もしかして、[ R ]の発音でその人の文化的な洗練度を試されているのかもしれず、[ R ]の音はフランス人にとっても非常に関心度の高い音声の一つとなっているようです。

だからこそ、この[ R ]の発音が上手にできれば一目置かれることがあるかもしれません。

★発音上手の近道

子音[ R ]る:フランス語発音の最大の壁[ R ]を克服する

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子音[ r ]の音の正体とは

まずは、フランス語の[ R ]の音の発声ポイントをつかんでおきましょう。

フランス語の[ R ]の発音方法として一般的によく言われるのが、うがいをする時に鳴らす喉の音「カーッ」とか「ハーッ」の音に近いという説です。

確かに、この原理を使えば誰でも喉の奥の方で、ふるえる音、はじける音が発声できるはずです。

ちなみに、「ハーッ」の音とは、

寒さで手がかじかんだ時に「ハーッ」と息で温める時の音のことです。これが[ h ]の音です。

この[ h ]の音を呼気で振動させた音が、[ R ]の音(ふるえ音)というわけです。

ではこの[ R ]音の発声時、一体どんな現象が起きているのでしょうか。以下の図解を交えて見ていきましょう。

舌は、舌面の奥が上がり、俗に言う喉ちんこ(口蓋垂)に触れるまで上がって、口蓋垂と舌面の間に狭い隙間ができます。図の赤矢印部分が発声ポイント(調音点)です。この隙間に呼気を押し出すことで口蓋垂が振動し、ふるえ音が発声します。

これが[ R ]の音の正体です。

平たく言えば、

[ R ]の音=喉ちんこの振動音(口蓋垂ふるえ音)

となります。

フランス人は、この[ R ]のふるえ具合を絶妙にコントロールすることで、微妙な強弱をつけて振動音を操ることができます。

この[ R ]の発音のコントロール方法としては、

[ r ]音の発声コントロール方法

1. かじかんだ指を温める「ハーッ」の音[ h ]を作る

2. うがいをする時の要領で、[ h ]の音を振動させて[ R ]の音に変える。小さく、軽く、優しく

3. 喉ちんこの振動を認知しながら、[ h ]から[ R ]まで行ったり来たりを繰り返す

となります。

あとは、強弱をコントロールできるまで、口蓋垂の感覚に磨きをかけてください。

最初はどうしても力が入ってしまうので、うがいのような激しい[ R ]音になりがちですが、特にパリ周辺地域では、とても優しく鳴らしますので、力まずに。

優しく鳴らすには、舌の奥の後舌面と口蓋垂の隙間をできるだけ狭くして発音してみてください。慣れてくれば、口蓋垂が2回、3回と複数回ふるえる[ R ]音も自在に操れるようになるはずです。

このように、フランス語の[ R ]の音については、日本人は子音として認識していないため、「喉ちんこの振動音」なのだと理解するだけで[ R ]の音の認識は深まるのではないかと思います。

美しい[ r ]の音を練習しよう

それでは、フランス語のポップス音楽を通して[ R ]の音を練習してみましょう。今回はベルギー出身の歌手 Iliona(イリオナ)さんの一曲「reste」を引用させていただきました。

reste(れス)は rester「とどまる」という意味の命令形です。

その他に、rues(りュ)道, sombres(ソンブる)暗い, repart(るパー)再び出発する, など、[ R ]の音を持つ単語が出てきます。

[ R ]の音に注意して一度以下の曲を聞いてみてください。Youtube画面下の「設定」から「字幕」フランス語を選んで音声と文字を見比べてみてください。

いかがでしょうか。reste(れス)の「れ」の音に曖昧な感じが残りませんか?

日本人にとってその曖昧感のある音こそ[ R ]の音なのです。

上記に挙げた[ R ]をそれぞれ見ていくと。

reste:発音記号[ rɛ ]
開いたエ の母音が後ろに続くので、日本人には少し締まりのない怠惰な「れ」の音に聞こえるはずです。Je voudrais(ジュヴドれ)の「れ」と同じ音です。

rues:発音記号[ ry ]
母音「」が後ろに続きます。とても軽い[ R ]ふるえ音で「りュ」を発音しています。

sombres :発音記号[ rə ]
[ ə ]短いウ の母音が後ろに続くので、口蓋垂が軽くふるえる[ R ]の音です。

repart:発音記号[ rə ] [ r ]
語頭の[ R ]は後ろに母音[ ə ]が続くので、語末の[ R ]に比べて若干ふるえが強いはずです。語末の[ R ]は、口蓋垂がふるえているのか分からないくらいの吐気が抜けるだけの音になります。

*一般に語末の[ R ]音は、先行する母音が伸びるので[rəpaːr]、ふるえが聞こえるか聞こえないか分からないくらい微細な[ R ]ふるえ音になります。ふるえの無い[ h ]に極めて近い[ R ]音です。

ぜひこの曲を聞きながらフランス語の[ R ]の音を繰り返し発音してみてくださいね。この記事が日本語には無いフランス語の「る」の音の正体を認識するのに役立てば幸いです。

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