Terre Âmesːrへようこそ。
ここではフランス語の発音上手になるための始め方をわかりやすく解説します。
日本人がフランス語を発する際につまずく発音の壁を、もし最初に知っていたら、もっとフランス語学習は楽しくなるだろうと思います。
日本では発音の基礎を最初に教えない、あるいは重要視されていないと感じます。音声言語、文字言語の違いのせいなのか、発音が後回しにされてしまうのは、英語と同様かもしれません。
案の定、当方も現地で自分のフランス語の発音が通じず、聞き取れず。自分には才能がないのかなぁ、、と諦めそうになりつつ、自分なりにフランス語発音の修得方法を模索してきました。
そんな風に発音でつまずく日本人は多いのではと察します。
また、初心者の方が感じられるだろう疑問
- 読む文字と読まない文字の区別はどうしてるの?
- 単語と単語をつなげる、つなげない区別は?
- RとLの発音の違いは?
- 発音のイントネーションがわからない
- 発音のリズムがわからない
なども、解決していきたいと思います。
せっかくフランス語を学ぼうと思ったのに、諦めそうになっている方、これから学んでみようという方に読んでいただけたら嬉しいです。フォロー、ご質問、ご意見、シェアをお待ちしています!
もしおまえに飼い慣らされたら、おれの生活はぱっと輝くだろうな
Si tu m’apprivoises, ma vie sera comme ensoleillée.
Le Petit Prince 星の王子さま
フランス語 発音の難しさの根本原因とは?
人間は発声したことがない音は聞き取れないと聞いたことがあります。どうやらフランス語には、日本語には存在しない音が複数あるようなのです。
そんな日本語には無い音の壁が、フランス語の音の理解を妨げているのかもしれません。だから、まずは日本語発音とフランス語発音を徹底的に比較して、その音の壁をよく認識することから始めてみたいと思います。
日本人特有のフランス語の発音の難しさを知り、その壁を乗り越えていくための方法や考察をまとめていきたいと思います。
フランス語の「母音」の位置をつかむ
下図は、フランス語の母音(発音記号)の位置を表した音の体系チャートです。左を前方として左向きの状態で、口の形、口の開き、舌の位置に応じて母音を配置しています。
図表を基に、唇と口と舌を動かして、それぞれの母音の位置を突き止めてみてください。
*[ ]は母音の発音記号です。
横に引っ張る | 丸める | 唇の形 (ニュートラル) | 丸めない | 強く丸める | |
---|---|---|---|---|---|
閉じる | [ i ] イ | [ y ] ユ | [ u ] 重いウー | ||
半分閉じる ⬆︎ | [ e ] エ | [ ø ] ウ | [ o ] オ | ||
口の開き (ミドル) | [ ə ] 短いウ | ||||
⬇︎ 半分開く | [ ɛ ] 開いたエ | [ œ ] 開いたウ | [ ɔ ] 開いたオ | ||
開く | [ a ] ア | [ ɑ ] 後方のア | |||
前方 | 前方 | 舌の位置 (センター) | 後方 | 後方 |
音の体系チャートの見方のポイントは、
センターの[ ə ]短いウを中心にして、
- 唇の形が、左右2段階ずつ
- 口の開きが、上下2段階ずつ
- 舌の位置が、前後1段階ずつ
*[ ə ]センターは、唇と舌に力が入っていないニュートラルな状態。口の開きも中間のミドルの状態です。
で示されているところです。
それぞれの母音が、どこに位置するのか理解を深めてください。
日本語で発音できるフランス語の「母音」
上図を見ると、フランス語は母音の数がとても多いことがお分かりいただけると思います。その中で、日本語の仮名読みのまま使える母音は、チャート上の緑文字の6つとなります。
この6つの音は、日本語の発音のままで問題なく発声できるはずです。
* R「る」の発音についての詳しい考察は以下の記事をご覧ください。
日本語に無いフランス語の「母音」を認識しよう
問題は、図表の赤文字の母音です。フランス語には、日本語の母音には無い音が6つあります。
図表の上から順に見ていきますと、
となります。
つまり、日本語で発音できる母音が6つと、日本語で発音できない母音が6つの合計12の母音があります。
まずはこの事実を知ることがスタート地点になると思います。
フランス語の「鼻母音」の位置をつかむ
発音したことがない母音が6つあるだけでもたくさんですが、今度は、鼻にかかる4つの鼻母音についてもご紹介しなければなりません。
これは、母音 +「ん」で発音するもので、前述のチャートに出てきた4つの母音、
[ ɛ ] 開いたエ、[ œ ] 開いたウ、[ ɔ ] 開いたオ、[ ɑ ] 後方のア
これに +「ン」の音をつないで発声します。
先程のフランス語の母音の図表に、鼻母音を配置すると以下のように青文字の位置になります。
日本語のアン[ ã ]を加えて比較すると位置が掴みやすいので、[ ã ]を緑文字で示しています。
日本語に無い「ん」を伴う4つの「鼻母音」
それぞれの鼻母音の位置を確かめてください。
横に引っ張る | 丸める | 唇の形 (ニュートラル) | 丸めない | 強く丸める | |
---|---|---|---|---|---|
閉じる | |||||
半分閉じる ⬆︎ | 日本語のエン | 日本語のウン | [ õ ] 日本語のオン | ||
口の開き (ミドル) | |||||
⬇︎ 半分開く | [ ɛ̃ ] 開いたエン | [ œ̃ ] 開いたウン | [ ɔ̃ ] 開いたオン | ||
開く | [ ã ] 日本語のアン | [ ɑ̃ ] 後方のアン | |||
前方 | 前方 | 舌の位置 (センター) | 後方 | 後方 |
フランス語の鼻母音の位置は、4つの開いた母音と同じ位置になります。
チャート見方のポイントとしては、
- フランス語の[ ɛ̃ ]エン、[ œ̃ ]ウン、[ ɔ̃ ]オンは、日本語発音のそれよりも口が2段階開いている
- [ ã ]日本語のアンとフランス語の[ ɑ̃ ]後方のアンは、舌の位置が前方と後方で大きく異なる
といったところです。
フランス語の「鼻母音」を認識しよう
図表の左から一つずつ見ていきましょう。
となります。
開いたエン[ ɛ̃ ]、開いたウン[ œ̃ ]と、日本語のアン[ ã ]の3つは隣接していて、最初、違いが分かりにくいので整理しておきましょう。
まず、[ ɛ̃ ]開いたエンは、「in〜」,「 im〜」から始まる単語などの発音で使われますが、パリ周辺地域では、日本語のアン[ ã ]で通用します。
Ex.) intuition(アンテュイスィオン)直感, important(アンポるタン)重要な
また、[ œ̃ ]開いたウンは、会話では消えつつあり、[ ɛ̃ ]開いたエンが使われています。([ œ̃ ]の音を持つ単語自体が少ないためと考えられます。)
日常で唯一[ œ̃ ]を意識するのは、冠詞の un(アン)一つの、です。
Ex.) un café(アンカフェ)コーヒー
これは頻繁に使いますが、この「un」は本来、[ œ̃ ]開いたウンです。もっともパリ近郊では、これが[ ɛ̃ ]開いたエンとなり、こちらも日本語のアン[ ã ]で通用します。
繰り返しになりますが、まとめると、
- [ ɛ̃ ]開いたエン=日本語のアン[ ã ]でも可
- [ œ̃ ]開いたウン→会話では[ ɛ̃ ]開いたエンとなり=日本語のアン[ ã ]でも可
- [ ɔ̃ ] 開いたオン=日本語のオン[ õ ]でも可
- [ ɑ̃ ]後方のアン→日本語のアン[ ã ]とは大きく異なる(舌を2段階後退)
となります。
日本語のアン[ ã ]は、フランス語の[ ɛ̃ ]と[ œ̃ ]の両方に使えるので幸運です、また[ ɔ̃ ]も日本語のオンでもOKです。
日本人にとって難しいのは、発音したことがない[ ɑ̃ ]後方のアンとなります。
*フランス南北で異なる[ ɛ̃ ]開いたエンの発音については、以下の記事も併せてご覧ください。
フランス語の母音まとめ<母音の台形図>
フランス語の母音と鼻母音の体系をまとめると、以下の台形図で表すことができます。
母音の位置がわからなくなった時は、こちらの母音台形図に立ち返っていただければと思います。
発音上手の分かれ道は、この母音と鼻母音の認識と使い分けに隠されていると見えるので、最初にしっかり区別しておきましょう。
おまえの足音が音楽みたいにおれを巣穴の外へ呼びだすのさ
Le tien m’appellera hors de terrier, comme une musique.
Le Petit Prince 星の王子さま